書籍

「虐殺器官」  伊藤計劃

著者は最近亡くなったそうです。つまりもう新作が読めないってことですね。こんな悲しいことはないですよ。そう思います。 911後の近未来、世界各国では紛争が多発するようになったが、どうもその裏には一人の男が暗躍しているとの情報が入る。主人公はテロ…

「ゴールデンスランバー」  伊坂幸太郎

流行りものは流行ってるときに読まないと意味ないのではないか、とは思いつつも読んでみた。ちなみに「オーデュボンの祈り」と「死神の精度」はいまだ積ん読中。 巨悪と一人孤独に闘う一般市民。この設定だけで燃えるけれど、それよりも自陣があまりに貧弱す…

「秋葉原事件 加藤智大の軌跡」 中島岳志

ちょっとした調べ物のついでに「秋葉原事件」について知りたくなったので読んでみた。タイムリーなことに契約社員の食品農薬混入事件が先日起こって、会社への不満、雇用の不安が犯行の動機といった報道が大きく取り上げられており、やや構造が秋葉原事件を…

「工学部ヒラノ助教授の敗戦 日本のソフトウェアはなぜ敗れたのか」 今野浩

筑波大学での政治ゲームをその当事者が描いた黙示録。 理系って言うのは予算獲得のための骨肉の争いだけではなく、ポスト争いに関しても壮絶なものがあるのだなあとか、だけ。まあ、もちろん文系にだっていろいろと複雑な内情はあるのだとは思うのだけれど。…

「震える牛」 相場英雄

駅ナカの書店で衝動買いした1冊。社会派サスペンス物。 最後までどんでん返しも、驚愕の真相もないが凄腕刑事が少しずつ少しずつ真実に近づいていく描写は古き良き刑事ドラマのようで非常にいい読後感。警察用語も逐一説明するようなこともせず、さらっと読…

「時計館の殺人」 綾辻行人

ミステリー小説を読んでいるときに、ボクがけっこう気にしているのは最終的に何人くらい生き残るのかなあ、ということだったりする。本作では探偵役は最後まで現場にいらっしゃらずに、犯人のアリバイ工作に利用されているので、まあさすがに死ぬことはない…

「儚い羊たちの祝宴」 米澤穂信

「古典部シリーズ」の作者の短編集。アニメで見た作品を原作でもう一度読むのもなんだかな、と思ったので別の作品を手に取ってみた。ミステリー史には全然詳しくないので、マニアックな伏線やネタはあまり楽しめなかったけれど、収録されている5編はどれも豪…

「ティファニーで朝食を」/トルーマン・カポーティ、村上春樹訳

原作よりも映画の方が有名らしいけれど、ボクは映画はみたことない。オードリー・ヘプバーン演じるホリーは原作の魅力には及ばないといった意見がちらほら見られる。原作ではホリーは性に奔放で、一言でいうとビッチなんだけれど、主人公を含めた登場人物は…

「フェルマーの最終定理」/サイモン・シン、青木薫訳

ドラマ「古畑任三郎」に数学者をテーマにした話があって、共同研究者が行った世紀の大発見の手柄を横取りしようとして犯行に及ぶ、というシナリオやねんけど数学のミステリアスな雰囲気を初めて感じたものだった。小説「博士の愛した数式」は当時めっちゃ流…

「グーグルで必要なことは、すべてソニーが教えてくれた」/辻野晃一郎

正直なところボクGoogleのビジネスモデルについて詳しく調べたことなかったんよね。それが知れただけでもこの本を読んでみてよかったかなと思ったよ。内容としてはタイトルから期待されるようなものではなかったかな。著者がGoogleで行った具体的な実績につ…