「中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義」  中島岳志

政治史にまったく関心をもてないボクにはこの面白さはキャッチできなかった。こういう作品を心の底から楽しめない自分はなんか不幸な星の下に生まれてきたように感じる。主人公のラース・ビハーリ・ボースはインド独立運動を指揮する革命家。チャンドラ・ボースではない。祖国での武装蜂起をきっかけに、日本に亡命する。そしてそれからおよそ30年間の亡命生活の末、インド独立を見ること無くこの世を去る。

彼を中心に、孫文頭山満、そして犬養毅など戦時中のビックネームをちらほら出てきてそのたびに心躍るが、そういった歴史ファンでもないボクとしては、「新宿中村屋」の「インドカリー」の由来となったボースに一番関心が及ぶ。そもそも「新宿中村屋」って和菓子会社やと思ってた・・・・著者みたいにこの老舗の定番メニューから近代日本の世界に話をもっていく力量はほんとすごいっすなと思います。

背景とか全然知らんなくても難なく読み進めることができるけれど、全く知らないと「まったく知らんおっさんの一生」を読むだけになってしまうので要注意。

 中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義