映画「明日、君がいない」

映画「明日、君がいない」鑑賞

一般的なはなし。映画を見終わったときに、うまく伏線が回収されていなかったり説明不足のところがあったり、なんだか理不尽なもやもやした気持ちで席を立つことはよくあって、たぶん作ってる人たちは説明しないことも含めて演出だと考えているだと思うんですよ。でも見てる方からすると何か釈然としない感じがして、もんもんと考えたりするんですよね。

それで、この作品もおそらく観客がもっとも気になる部分が説明されないまま終わってしまうんやけど、「分からない」ってことが監督が訴えたい重要なテーマを表すことに成功してる。

冒頭である生徒が自殺するらしいことが示唆されて、映画自体はその場面までの一日をいろいろな生徒の視点から辿っていく方法で映されている。つまり、最後の生徒の自殺した理由とかいきさつがほとんど観客には分からないまま映画は終わる。冒頭で自殺が行われることが分かれば、当然そこに至る過程が作品で描かれるものと観客は錯覚してしまうので、ラストで衝撃の結末となってしまっている。

そもそも、自殺するからには相応の理由があるのだろうと考えてしまい、またそこにある種の合理的な納得させられるだけの原因をボクらは求めてしまうんだろう、というのが前提とされている。けれど、この作品では周囲からはそんなことは気付けないし、はっきりした理由があるのかどうかも分からない。

身近な友人が自殺してしまったような、大きな焦燥感を得ることのできる傑作。

f:id:masamoto23:20130514200510j:plain