映画「さよなら、僕らの夏」

あまりにも衝撃的なラストになってしまったので後半はずっと、「え、これで終わり?終わっちゃうの?まさかそんなことないでしょ(笑) え?ええっ?」てな感じでぜんぜん映像に集中できませんでした。

いじめっ子といじめられっ子の関係を周囲の人間関係まで巻き込んで90分の短い映像にまとめたストーリー。批評サイトでは人物の心理描写が細かい、となっていたものもあるが全くそんなこともなく、海外のティーンエイジャーにありがちな険悪な喧嘩腰の会話にテンプレートな人間像である。いじめっ子が実はさびしがり屋のいいやつとかいつの時代の設定やねん。

いったいどこが面白かったのか?そう考えるとそれは、「あっけなさ」かな。まさかこの終わり方はないだろ、というのは視聴者に対する裏切りであったんやけど、裏切り自体はいいとして、もう二転三転するに違いないと思い込んでいた心理があった。あまりに「意外なラストシーン」に慣れ過ぎていたことによって、日常での「まさかの出来事」に対してそのままそれを素直に見れない自分に驚いた。

衝撃の展開からさらに物語はつづく、それは劇中の少年らがどう感じ反応するか、この場面に関してはとてもリアリティのある描写となっている。視聴者にとっても「まさか」の展開であるが、作中の登場人物からすればそのインパクトは悲劇的である。非力な少年たちが一発逆転のハッピーエンドを追い求める映画とは全く逆。いかにこの「まさか」の展開を登場人物たちが受け入れていくのか、ここにこそこの映画の面白さがあると思うのだ。

さよなら、僕らの夏 [DVD]