映画「スラムドックミリオネア」 ダニー・ボイル

これまで観てきた映画に関わらず、フィクション体験の全てを肯定する映画。

公開された時からかなり評判のいい映画であったけれど、楽しみに今まで取っておいた笑 とにかく評判通りの名作でした。

ラストのシーンにボクは大いに感動した。それはひとりの不遇な少年が人生を逆転させ幸せを掴むという、超古典的なラストシーンである。映画史上最高のご都合主義での一発逆転は、予想を上回るというよりまさに期待通りの展開となっている。つまり目の前の映像は全くリアリティの無い、夢・空想のどんでん返しなのである。けれどそこにこそ大きな感動があるというのは、どういうことだろうか。

冒頭シーンで主人公はクイズ・ミリオネアでの快進撃を理由に逮捕される(この時点でラスト1問残し)。そして自分の生い立ちを振り返っていく。すでに起きた連続正解は、視聴者にとっても予定調和であり、驚く場面ではない。しかし、ここでの伏線があってラストシーンへの期待はすでに高まっていく。つまりハッピーエンドへの期待である。

映画に限らず、小説などであってもこじ付けのオチは非常に多いけど、それは感動させるための演出として納得させられる。「うまく感動出来た!」といった心地いいがやや後ろめたい心地よさである。本作でボクは、ハッピーエンドを求めそれにつながるあらゆる演出を許し、期待通りのラストシーンに舌鼓を打つ。

主人公とヒロインの幸せを心から望む準備をもって映像に臨むことのできるストーリーは、これまでのフィクション体験で得たご都合主義的ハッピーエンドすらも肯定できるもののようである。ボクはこの映画に感動していいのだ。

 あと、エンディングのダンスシーンは超あげあげ。

スラムドッグ$ミリオネア